文部科学省・科学研究費補助金による支援と研究成果

  テーマ「経済統合、少子化及び外国人労働が世代間利害に及ぼす

           影響と対策に関する研究」

 

基盤研究(B) 研究期間:平 成 17~平 成20 年 度 

 

研究代表者 井口 泰

研究分担者 藤野敦子

研究分担者 西村 智

研究分担者 志甫 啓

 

(平成19年度・研究実績)

 本研究では、日本における少子化(又は人口減少)の引き起こす負の経済効果が、地域の経済統合によって、どこまで克服可能であるのか、その際、企業、家計、学校、地域社会などが、「少子化」対策及び「外国人」政策を如何に組み合わせることにより、世代間利害の対立を最小化できるかを主要テーマとしています。このため、平成19年度は、以下の5つの点を中心に調査研究を実施しました。

 

 第1に、北京の中国人民大学の研究スタッフとの間で、東アジアの経済統合、工程間分業と産業集積、オンショア生産とオフショア生産の関係、少子化の下における労働市場の変化などのテーマについて情報意見の交換を行いました。また、現地進出企業に対する実地調査も実施しました。

 

 第2に、東アジアに共通する少子化問題の背景にある家計構造及び家族形成プロセスの検討を進め、「同居モデル」や「移行モデル」を定式化するとともに、計量的な実証研究を進めました。

 

 第3に、労働力の高齢化と若年層の減少が地域の業種・職種別の労働需要に与える影響と同時に、企業の立地選択と外国人労働力との関係に関して、数年来入力し蓄積してきた地域別データベースを活用した計量的な分析を進め、実地調査を実施しました。

 

 第4に、欧州統合に伴うEUの共通移民政策の展開や外国人の地域・自治体における社会的統合政策の効果などにヒントを得て、「世代間利害調整」の概念を拡充するとともに、外国人受入れの制度的インフラ形成に関する各種の政策提案(外国人住民基本台帳制度や日本語講習などを含む)を行いました。

 

 第5に、こうした調査研究の成果を踏まえて、ドイツ・ニュルンベルクにおいて、関西学院大学とエアランゲンニュルンベルク大学で共同シンポジウムを実施しました(本WEBの写真を参照)。